高齢化率が高まる大坪町栄町で14日、原子力災害発生時の避難を想定した訓練が行われました。
栄町では地域住民の交流拠点「栄町ウェルネスホーム“支温の家”」を福祉避難所として活用し、高齢者が安全に避難できる体制を整えています。
市内で最も早く団地が形成され大坪町栄町は、65歳以上の高齢者が占める割合は33.7%と高齢化が進んでいます。
原子力災害が発生した場合、一人暮らしの高齢者にとっては、数十キロ離れた避難所への移動が大きな負担となっていました。
こうした状況を受け、NPO栄町地域づくり会は、高齢者が安心して暮らせるまちづくりめざし、交流拠点「栄町ウェルネスホーム“支温の家”」を整備。福祉避難所として活用できるように設計されています。
この日、行われた避難訓練には、75歳以上の地域住民ら32人が参加し、原子力災害が発生したという想定で、栄町児童公園から支温の家に避難しました。
参加者は施設内を見学し、災害時に備えて配備している段ボールベッドの組み立て作業を体験しました。
支温の家は、県と市の補助事業を活用し県営住宅を改修して整備された施設です。(総事業費 約650万円/5年間)
普段は、高齢者の交流や、子どもの見守り活動が行われていますが、原子力災害を想定し、窓には放射能を防ぐシャッターが取り付けられ、災害時には最大20人を受け入れることができます。
栄町では、65歳以上の一人暮らし世帯と二人暮らし世帯が全体の2割を占め、原子力災害時の避難先となる約50キロ離れた太良町への円滑な避難が大きな課題となっていました。
そのため、支温の家を避難拠点とし、市外への避難が指示された場合は、県や市が手配したバスが避難者を迎えに来る体制が整えられています。
また、自然災害時にも避難所として活用され、令和2年の台風では、70代から90代の地域住民7人が実際に避難しています。
(参加者)
「もっとむずかしいと思っていたがガムテープだけでできたので良かった」
(井手薫さん)
「ハード面(支温の家整備)は今年度で完了できたのでソフト面で力を注いでいきたい。みんなが自助努力もする。私たちも一生懸命支えていく」
「支温の家」は、地域住民が互いに助け合い、支え合うための拠点として、その役割をますます高めていくことが期待されます。